1.デザイン手順とパーツ選び・・・7.段端装飾と控え
■ 段端装飾は、階段昇り口の親柱に帆立状に付いた飾りのことです。専用のパーツもありますが、その他のパーツを流用したり、複数のパーツを組上げて使用したりします。段端装飾やレールエンド以外でも興味深いデザインがあります。外側に親柱や控え柱を置けば、デザインだけでなく揺れに対する強度も抜群です。控え柱はハイフェンスや長い手摺などにも振止めとして必須です。お見せする例をもとに、他のパーツの利用やお客様独自のデザインを工夫なさって下さい。
1-7-1: 段端装飾のいろいろ
図Aには374.33.027 、図Bには373.33.026というレッキーメタルのパーツを利用したものです。左方向への張り出しが大きくなりますので親柱を段奥へ1ピッチ移動してあります。段端装飾を使うデザインの場合、レールエンドの形と長さとのバランスが重要なポイントです。
図Cのように唐草パネルを流用してもOKです。しかも上下を逆にしてみました。下部の膨らみが小さくなって親柱の位置を移動しなくても納まりました。パーツは183.33.044です。
図Dは親柱を兼ねた段端装飾です。ベースプレート式の取付方法で階段に置きますと横がはみ出てしまうので、床面まで降しました。巾もあるので右側に隣接のたて子の下半分はカットしました。ハンドレールとの折り合いも悪かったので上部をカットしました。使用した365.33.029は表裏があり、写真Eのように階段両側に手摺がある場合はパーツを使い分ける注意が必要です。対称のパーツは367.33.029です。さらに施工例ではパーツのかなりの部分をカットして使用しています。
写真Fでは折れ階段のために親柱から直角方向についた変則的な段端装飾で、前出のパーツ374.33.027を母体にして複数のパーツを組上げています。
1-7-2: 段端親柱の外側にもう1本建てる
ロートアイアン手摺の端は、材料のタワミにより振れ易いというデメリットがあり、状況が許す範囲で改善策を取りたい箇所です。図Aのように端部親柱の真横に柱を一本張り出すと改善します。段からはみ出しますので、フロアに降ろした形になります。適度な装飾を付けて手摺との一体感を出しましょう。
図Bはヤクモノパーツを利用して手摺ごとR折返しで終わる見せ方です。ボトムレールは25X8材にヤクモノがないので利用できませんが、長尺材から機械加工によるのフランジ曲げは可能です。
1-7-3: 「控え」を取って同等の効果を
「1-7-2: 段端親柱の外側にもう1本建てる」は床止めの方法でしたが、ここでは階段や梁などの側面を利用して「控え」をとる方法です。図Aは側面取付部に持出しブラケットを利用、親柱との取付は454.04.000ベースプレートを流用し、つなぎに20X20の角棒を用いて溶接組立した「控え」です。吹抜けなどで長い直線手摺の親柱にも使用すると振止めとして効果的です。
図Bは大型の唐草パーツを利用しました。側面からの出巾が大きくなりますので、余裕のある空間が必要になります。
1-7-4: 室内手摺などの振止め対策
Designbook vol.2のコラムでもご紹介した例です。といっても建物側の制約もあり、なかなか実現しにくい案もあります。建物の平面図や現場をみてもし可能性があれば是非このような処理を取り入れたデザイン提案をお勧めします。要点は、
などを挙げましたが、他にも1-7-2をアレンジしたアイデアなどもおススメです。
■ 階段や手摺の始まり部分は建物の中でも見せ所となる事例が多く、振れ易いというウイークポイントをカバーしつつ、華麗にロートアイアンを演出できる可能性の高い場所です。既製パーツだけでは賄いきれず特注加工に頼るときも多いですが、レッキーメタルのオーダーメイド施工例でもたくさんの事例を見ることができます。
例えばオールオーダーに近ければJG15-Aのようなデザイン・製作(図面に書ききれず、職人さんの感性に頼る部分も多いです)も可能です。パーツの曲げ直しやハンドレールの三次元曲げ用の加熱加工設備があれば、AB06-Aのデザインなど、ヨーロッパの華麗な段端処理(ハンドレールの巻込みナメ上がり)に一層近づけることも可能です。