1.デザイン手順とパーツ選び・・・9.ハンドレールの種類、加工法|ロートアイアン鍛鉄製品のレッキーメタル

1.デザイン手順とパーツ選び・・・9.ハンドレールの種類、加工法

■ スチール製手摺のハンドレール部分は普通フラットバーやパイプ材が用いられます。レッキーメタルではより装飾性をお求めのお客様に、槌目模様入りのパイプ材、フラットバー、角棒や装飾柄入りのフラットバーをご用意しています。
 また、カマボコ状の断面をしたハンドレール専用材をお使いになりますと、手摺がグンとロートアイアン製品らしくなる上、握ったときの手触り感や横ブレ、タワミの強度が向上します。
 さらに、デザインや加工が面倒な手摺の始まりの部分や端部に使うパーツ、曲り角に使うパーツなど、それぞれのハンドレール材の断面に適合したヤクモノパーツも揃っています。

1-9-1: ハンドレールの種類と使い方

Fig.1-9-1 ムク材ハンドレールと中空ハンドレールの組付け方の違い

 図Aはムク材のカマボコ形ハンドレールや模様付きフラットバーのハンドレールを組付けるごく一般的な方法で、じかにたて子や親柱などを溶接します。ハンドレールの中でも中空ハンドレール(=裏側がエグれているような断面のカマボコ形ハンドレール)は、図Bのように、フラットバーのハンドレール下地をまずたて子や親柱と組み付けておき、そこに中空ハンドレールをかぶせ、比較的目立たない下面で線溶接する手順が一般的です。TIG溶接が使えればビート仕上の必要もありません。
 その他、塗分けたハンドレールの組付けに図Cのようにネジを使う方法もあります。溶接の痕跡を残さない図Dは、先人がリベット止めを使っていた技法をアレンジしています。また、ムク材ハンドレールの場合のように直接たて子や親柱を溶接しても構いませんが、エグれた部分の溶接跡の仕上はほとんど不可能です。

1-9-2: ハンドレール同士やヤクモノとの接合

Fig.1-9-2 手摺で一番目立つハンドレールを美しく接合するのがコツ

 大きく分けると、主に製作所内で接合する場合と、取付現場で溶接を使わない接合の2つがあります。
 図A①~⑥はハンドレール同士やヤクモノの溶接の場合の手順の一例です。このようにちょっと手間をかけると美しく仕上げられます。
 図Bはトメ継ぎなど角度が出るときの溶接の注意点です。内側のカドは谷になってしまい切削仕上がうまく行きません。思い切って溶接せずに済ませます。外カドは溶接とディスクサンダーで仕上可能です。裏側は全溶接して強度を保ちましょう。
 図Cは手摺を分割して現場納入した際の組立方法の一例です。1.デザイン手順とパーツ選び・・・3.たて子組み手摺の基本”1-3-7のようなジョイント板を、外に出したくない時などに使える、ひと手間かけた構造です。説明は冗長になるので興味を持たれたかたはお問合せフォームからご質問ください。ネジ止めで接合後は図Dのようにポリパテ(自動車鈑金用)を使い、継目とネジ頭を仕上げ、タッチアップ塗装します。


1-9-3: ハンドレールのR曲げ加工

Fig.1-9-3 ハンドレールのR曲げ

 フラットバー系およびムク系カマボコ形ハンドレールは、ほとんどのR曲げ加工が可能です。

  • ① ベルト曲げ: ズボンのベルトを想像して下さい。Rの芯がレールの厚み方向にあるのがベルト曲げです。
  • ② フランジ曲げ: 道路のカープのように、Rの芯がレールの広幅方向にあるのがフランジ曲げです。それぞれの曲げ加工所で違いがありますが、R100mm以下ですと機械曲げでは曲がらない場合が多いので、作図の際は先方にお問い合わせになってからデザインしてください。
  • ③ 舐め上がり: 螺旋階段の手摺のような、主にフランジ曲げに勾配をもたせてねじり 上がって行くカーブをいいます。半径が一定、または半径と勾配率が共に一定の場合は、ロール曲げをする専門工場に持ち込めばやってくれます。曲率や進行方向が変化している場合はバーナーであぶりながら図Cのように手曲げしますが、美しいラインを出すためには、経験と手間が必要です。
  •  図Bのようにヤクモノパーツが利用できるハンドレールもあります。